私が大切にしていること

優秀な人材が“活躍できない理由”「日本企業が抱えるリーダー支援の盲点」

2025.07.03

着任した瞬間から始まる、孤独な戦い

人材業界に18年、2,500人以上のキャリアの転機に立ち会ってきた私が強く感じていることがあります。

それは「着任した瞬間」から、孤独な戦いが始まっている、ということです。

たとえば、外部から優秀な人材を採用したのに成果が出ない。昇進・異動した幹部のパフォーマンスが落ちた、そんな声を数えきれないほど耳にしてきました。

「人選が悪かったのでは?」
「年収2,000万も出したのだから、そのくらい人間力でなんとかやってくれ··」

そんな風に個人の問題として片づけられがちなこの問題。でも実は、「支援の構造がないこと」が最大の原因ではないかと私たちは考えています。

採用は“ゴール”ではないはずなのに

今の時代、電車に乗っても、SNSを見ても、転職を後押しする情報で溢れています。

優秀な人材がキャリアの選択肢を持ち、より良い機会を求めて移動できるのは素晴らしいこと。一方で、私たちはこうした“転職しやすい社会”に、構造的な歪みがあることも見逃せません。

多くの転職エージェント、求人メディア、スカウトサービスは「採用すること/転職すること」をゴールに設計されています。そして、その前提のもと、企業も転職者も「採用が決まれば一区切り」という意識を持ちがちです。しかし、その先にある「新しい環境で成果を出すこと」について、ほとんど目が向けられていません

採用が決まった瞬間、サポートが突然途切れる。
高額な採用フィーを企業が支払っていることもあり、リーダーには「就任初日から成果を出して当然」といったプレッシャーがかかる。
結果として、期待と孤独の板挟みになり、最悪の場合、早期退職に至るケースも少なくありません。

今、日本企業に必要なのは「経営幹部の着任支援」

ハーバード・ビジネス・レビューによると、新任エグゼクティブの約40%が、就任から18ヶ月以内にその役割に失敗していると報告されています。

ここで言う「失敗」とは、解雇・退職・強制的な退任を意味しており、在任中の業績不振や影響力の低下といった“見えにくい失敗”は含まれていません。つまり、実際の“立ち上がりの失敗”は、表面に出ている数字以上に深刻である可能性があります。

驚くべきは、失敗の原因が「能力不足」ではないということ。
文化への適応、キーパーソンとの信頼構築、適切なリーダーシップスタイルの選択──
つまり、“新しい環境に適応する仕組み”が存在しないことが、多くの失敗を招いているのです。

海外ではエグゼクティブ・オンボーディングが「成果最大化とリスク最小化のための基本施策」として定着しているのに対し、日本ではまだ構造そのものが存在していません。
特に日本企業は、空気を読み、文脈を察する“ハイコンテクスト文化”で成り立っています。外部人材がこの文化に適応し成果を出すには、ただ“がんばれ”だけではどうにもならない。にもかかわらず、支援の枠組みがまったく用意されていないのが実情です。

今、日本企業に必要なのは、経営幹部の着任支援です。
それは、組織の未来を守るための“投資”であり、“戦略”でもあるのです。

日本のリーダー支援の構造を変える

私たちエムクラスは、日本初のエグゼクティブ・オンボーディング専門企業として、「最初の100日間」に着目し、リーダーと組織の立ち上がりを徹底的に支援しています。

  • 何をもって成功とするか?
  • 期限はいつまでか?
  • どんな資源が使えるのか?

こうした「期待・期限・資源」のすり合わせを、着任前からステークホルダーと行い、新しいリーダーが“自分のチーム”を築くまでを伴走します。

そして私たちは、単に「リーダーを成功させる」ことだけが目的ではありません。
情熱を束ねて、世界を変えるチームをつくる。
多様な人材の力を引き出し、組織が変革を生み出す原動力となるよう伴走します。
それが、私たちの掲げるビジョンであり、使命です。

リーダーが孤立しない社会へ

「リーダーになる人が孤立する社会では、組織も社会も変われない」

これは、私たちが大切にしている信念です。
優秀な人材が成果を出しきれない背景には、個人の力ではどうにもならない“構造の課題”があります。
だからこそ、私たちは“構造”を変えていく。

変化の時代をともに生き抜くために、新しいリーダーと組織の最初の一歩に、丁寧に寄り添っていきたいと思います。信頼は行動によって築かれ、変革はチームでこそ成し遂げられる。共に動き、共に築く姿勢を何よりも大切にしています。

2025年7月3日
株式会社エムクラス
代表取締役 村上 しほり